僕がお店を始める訳

アブマニアのホームページを開設してから、はや5年が経ちました。この間色んな方とお取引をさせて頂き、またメールのやり取りを楽しませて頂きました。それは僕の楽しみの一部分でもあったのですが、同時に利益目当ての守銭奴、インターネットの転売屋と罵りの言葉を頂くこともままありました。

そんな中傷の中で、自分の内にも徐々に疑心暗鬼の暗闇が広がってくるようになって行き、2004年の2月、ついに僕は鬱病に罹患して、動くことさえままならなくなってしまいました。

皆さんは鬱病についてご存知でしょうか?キチガイの一種とバカにする人もいますが、鬱病は憂鬱な気分がずっと続き、それが段々ひどくなってくると、最後には自殺してしまうという、とても辛くて悲しい心の病気なのです。

毎日自殺を考える日々の中で、僕は改めて自分にとって釣りとは何なのか、生きていくことの本当の意味は何なのか、と答えのでない疑問に思い悩む日々が続きました。

さる方が仰った通り、鬱病は人間をとても自省的にする様です。病院でもらうお薬のおかげで段々と自殺念慮からも開放され、自分の本当の姿が見えてくるにつれて、僕はこのように考える様になりました。

結局自分は釣りが本当に好きであり、社会人としては落第生で、釣りにすがって生きて行くより仕方がない、最終的にはそんな気持ちになりました。HPを始めて5年ほど経ちますが、やはり自分は相変わらず釣りが好きであり、でも実際には実釣派からアームフィッシャーマン派へと変わりつつあり、そしてオールドタックルに強い愛着を持っている、このことは間違いないと確信しています。

釣り道具屋を商売にするのはとても大変なことは承知していますが、なんとか自分一人の糊口をしのげれば良い、大金は必要ないから、なんとかかんとか毎日を暮らして行ければ、自分にとってそれが一番の幸せなのではないか、そんな風に今では考える様になっています。

釣り具を売るという行為、商いというものには必ず金が付きまといます。金というのは、常に汚らわしいものです。そしてそんな僕を批判する人間も、世間には多数いることも承知しています。しかし自分にとってそれが幸せの一部である以上、もはやどんなに人の批判に晒されても構わない、そう開き直って考えられるようになりました。それはおそらく不安を取り去るお薬のおかげであり、僕は自分自身を改めて再発見したのだと思っています。

思えば釣り師には鬱病患者が多いのです。ショットガンで喉を撃ち抜いて自殺したアーネスト・ヘミングウェイは名の通った釣り師でしたし、開高健氏が鬱病であったのも、一部の方には知られている通りです。夏目漱石も鬱病だったと言われており、鬱病と文学には何か不思議なつながりがあるような気がします。

会社を去って自分の店舗を持ちたいというのは、おぼろげながらも僕の長年の夢でしたが、お薬のおかげで生まれついての心配性と不安が消え去り、自分のしたいことが見えてきた気がしています。

僕のお店は、たぶんみょうちくりんな、そして偏屈なお店になることでしょう。僕が昔お世話になっていた札幌の釣り具屋さん、三州屋さんが僕は大好きだったのですが(そして僕は今でもここが世界一すごい釣具屋さんだと信じているのですが)、少しでもそんな理想に近づける店にできれば良いな、そんな風に今は考えています。

話は変わりますが、僕は2004年の5月27日から6月7日まで、アブ工場のあるスエーデンのスバングスタへ旅行してきました。かつて開高氏が泊まったアブ(ガルシア)所有のVIP専用コテージにも行ってきましたが、ここがあの有名な各国の要人達を迎え入れたと考えるには余りにも寂れた、長い砂利道の付き当たりにあるとてもシンプルな、そしてちょっとオンボロな感じのする普通のキャビンでした。

アブのミュージアムにももちろん行きましたが、ここのハウスキーパーをやっているヘニング・カールソン氏とも記念撮影をして頂き、またディプロマットを企画製作したジャン・オケ・アンダーソン氏とも語らってきました。

とても面白いことには、僕が現地に持参したアブ・クラブの機関紙の裏表紙にちょうどアンダーソン氏が釣り上げたモラム川の記録魚、22.9キロのバルチックサーモンの記事が掲載されており、それがこのオケ氏本人であったことを知らなかった僕達は、その奇遇さにとても驚き、なにか運命めいたものさえ感じたほどです。ついでにそのページにオケ氏ご自身の署名をして頂き、またその年の記録魚として彼がアブから授与されたというゴールドのエンブレムを譲り受けてきました。これはその年に最大の魚を釣り上げた釣人だけに与えられる、とても栄誉ある貴重な品です。

また僕の友人からは、お前の店の目玉商品にしろと、2台の500000番のシリアルナンバーを持つ赤いアンバサダー5000を預かり受けてきました。世界でも僕のお店でしか見られない、とても貴重な品だと思います。サイモン下村氏の素晴らしい著書、「アンバサダーと私・最終章」の32ページに掲載されているものと、まさに同じものです。

シリアルナンバー1000000番がカール・グスタフ国王に寄贈されたものであることを考えると、1965年に製造されたこの2台のシリアルナンバー500000番(なぜか同一シリアルナンバーのものが2台、太軸と細軸スプールの両方存在するのです)のアンバサダー達は、アブの一つの記念碑とも言えるでしょう。

また他にもハイローを設計したアブのルアーデザイナーの作ったプロトタイプのルアー数種や、アブの創立者であるイエテ・ボイストロム氏が、自分のためにモラム川用に特別に作らせたルアーもいくつか、一緒に持ち帰ってきました。イエテ氏の書いた文字が未だ封筒に残っているという、ちょっと面白いものです。

僕のお店は、詰まる所は変わり者の集まる変な場所になりそうです。でも日本に一軒くらい、こんな変な所があっても良いかな、そんな風に僕は夢見ているこの頃です。一日にお客さんが一人か二人来てくれて、時に僕の話し相手になってくれれば、それで僕は幸せになれる気がしています。現実は中々甘くはないでしょうが、日々食べて行ければ、僕はそれで満足です。これが僕がお店を開く理由、そして釣り好きの方々が集ってくれることを夢見ながら、これをもって店舗開店のご挨拶とさせて頂きます。





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