このページでは野垣のお気に入りのアウトドア関連ブックを公開

俺、野垣のお気に入りの本達を、以下に簡単なコメント付きで列挙していきたい。絶版本やもう手に入らないものもあるが、図書館や古本屋で見つけたら是非読破していただきたい。

「青春を山に賭けて」

植村直巳


輝けお気に入り一番乗りは、ナンといっても植村さんの処女作と言っても良いこの本である。ガタガタ解説などせずとも、一読すればその良さは嫌がおうでも分かるであろう。ひたすら山登りという一銭にもならない遊び?に命を懸けたこの男の遍歴の書である。野外活動の愛好者なら、例え山に登らぬ人でも一度は読んでおいて損はない。そしてもしも単独行に痛くシビレテしまったら、お次は新田次郎の「孤高の人」などはいかがだろうか?最後に加藤文太郎の「単独行」にまで辿り着くようであれば、貴方は・・・・・・・・・。
「森の生活」

デビッド・ヘンリー・ソロー

アメリカのヒッピームーヴメントの精神的支柱になったとも言われる哲学の古典である。小難しい理屈が並べられているが、要は人間は考え方次第でいかにシンプルに生きることができるかという啓示の書である。しかも我々が失いつつある東洋思想がここでは永遠の輝きをもって語られており、日本人としては今更ながらに誇らしく思えるくらいだ。ちなみにかつてのヒッピー達はアメリカのTaosをはじめとしたニューメキシコ州に多く住み、各々独自のコミュニティを築いていた。しかしあれほど一世を風靡した彼らの姿も今はもう見られない。参考までにかつてのカリスマ指導者の一人は後に拝金主義の資本家となって世間の顰蹙を買い、もう一方の雄は最後まで志を曲げずに極貧のうちに生涯を閉じた。ソロー自身が後者だったのは言うまでもない。
「遥かなる山釣り」

山本素石


山本素石さんの名は幻の蛇・ツチノコ騒動と共に世間に広まり、それにつれて素石師が会長を務める渓流釣りクラブ・ノータリンクラブの名声も高まることとなった。しかも顧問はダーウィンの進化論に異を唱え、独自に棲み分け理論を提唱した京大の巨頭、今西錦司先生である。それはさておき素石さんの文章は軽妙洒脱で、ここに上げた本でなくても彼のエッセイはどれも素晴らしい出来である。渓流釣りファンならずとも、是非読んでみたい著者の一人である。俺の個人的な好みは素石さんの影の部分を描いた著書、「つりかげ」。読みものとしてはどちらかと言えば面白くないかもしれないが、俺が常に引かれるのは釣り師のこういう精神的バックボーンの部分である。ちなみにノータリンクラブの名声があまりに高かったため、それを扱った小説も出版されていたほどである。田辺聖子さんが「すべってころんで」で描いた珍妙な釣りクラブの会長のモデルになったのはこの人。
「湿原のカムイ・幻のイトウを追って」

佐々木栄松

道東は釧路在住の画家にしてイトウ釣りの第一人者、佐々木栄松師がイトウ釣りについて書いた本である。画家らしく的確な情景描写と叙情的な文章が光るが、ストーリーテラーとしての才能も素晴らしい。開高健の「私の釣魚大全」にイトウ釣りの師匠として登場することでも有名だが(そして漫画・釣りキチ三平の案内役としても)、開高がキャスティングを描写した”投射”という言葉は実は佐々木師からのものだったということに、今更ながら気付かされる次第である。
手元に在庫なく、廃版のため画像もナシ。
二葉書房刊
「旅をする木」

星野道夫

アラスカ在住の写真家、死後やっと著作がポツポツと出るようになったが、未だ彼の仕事が十全に評価されているとは思えない。文明人たる俺達には見えなくなってしまったものでも、彼にはハッキリと見ることができるようだった。それだけに急逝が惜しまれてならない。彼がカムチャッカ半島で熊に襲われて亡くなったのは、奇しくも俺がアラスカの荒野を熊におびえながら旅していた折であり、それだけにいっそうの思い入れが募る。一人でも多くの人に是非目を通していただきたい。ちなみに彼の本職は著述家ではなく写真家だが、もちろん「ムース」、「グリズリー」という写真集の方も素晴らしい出来である。機会があったら是非覗いて見て欲しいし、アラスカを訪れてみたいと思っている人には良きガイドブックとなることであろう。
「フィッシュ・オン」

開高健


もはや言うまでもなく、どなたもご存知のことであろう。彼がアンバサダーの名を喧伝するのに与って力あったのは間違いのないところである。釣りの紀行文としてはもちろんだが、釣りの本質を語っている数少ない本の一つである。ハッキリ名著と申し上げても良いだろう。個人的には処女作、「私の釣魚大全」の文章の方が趣があるように感じる。後のものになるほど粗製乱雑品のように感じるのは俺だけだろうか?ちなみに開高氏の著作には種本が存在するようだ。それは「私の釣魚大全」にも登場する福田欄童老の「世界釣り歩き」という本ではないかと思われる。しかし俺の意に反して、こちらの方は釣りと女遊びの楽しさを面白おかしく淡々と語った駄作のように思われた。暇と金のある方は一読してご覧になってはいかがであろうか?
「愛をもて渓魚を語れ」

紀村落釣


山本素石師率いるノータリンクラブの会員・紀村落釣氏というよりは、今はなき淡水魚保護協会の主催者・木村英造氏といった方が話が早いだろうか?屋久島やネパールに山魚女を放流した愛魚家としても木村氏は有名である。この本にはそんな裏話も述べられている。個人的には彼の師匠だったという夢野珍釣先生に惹かれる。俺の秘めたる師匠に実に良く似たところがあるからだ。本の内容自体は取りたてていうほどのこともない。ただ、日本古来の渓魚を放流するのは良しとし、外来魚であるバスから日本の魚種を守ろうとするその姿勢、そこには渓流釣り師としてのわがままが覗いていないだろうか?近頃出版された秋月岩魚氏(彼は開高健氏を会長に仰ぐ銀山の岩魚を守る会の会員であった訳であるが)の「ブラックバスがメダカを食う」と合わせ読んで、ジックリ考えていただきたいものである。



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